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2003年初頭から大規模なBuddhism
Projectが美術館やギャラリー、大学などNYの約20箇所で行われてきました。Buddhism Projectというのは大きな意味での仏教と美術の関わりをテーマとした企画で、数々の展覧会やレクチャーが開催されています。仏像や寺院装飾等の古典的な仏教美術の展覧会(例えばTransmitting
Forms of Divinity: Early Buddhist Art from Korea and Japan at
Japan Society and The Korea Societyなど)から、仏教が現代作家に与えた影響を探る内容のものまで、その企画の幅は広義に渡っています。今回は後者のテーマを持った展覧会
The Invisible Threadをご紹介します。
何しろ、この展覧会は私が参加していたアーティストインレジデンスであるニューハウスセンターフォーコンテンポラリーアートの企画だったので、準備段階
のレクチャーシリーズから、実際のインストールまでじっくりと見聞き、滞在制作やレクチャーで出展作家に出会う機会も沢山ありました。
このプロジェクトで取り上げられている仏教というのは、日本人である私達が日常身近に接しているものとは多少印象が違うかもしれません。それは全ての宗派、地域を含んだ多様なものであり、直接的ではなくとも精神面での影響や、現在アメリカで大流行のヨガや禅(ZENという言葉が一人歩きしている感がありますが)まで、間接的なものも含みます。
この展覧会に出品している作家の仏教とのつながりも多岐多様です。
やはり多かったのは仏教徒であるアジア人作家の作品。中でもレジデンスで顔をあわせる機会が多かったのが台湾のアーティスト、ロン・ビン・チェン。固めた電話帳をチェーンソーで削って仏様の顔を創る彼は、その制作の為長期に渡り滞在していました。余談ですがスタジオでの制作の後、寒かろうが雨が降ろうが、フェリー経由で遠かろうが、チャイナタウンに夕飯を食べに自転車をとばす日課が印象深かった(うちのレジデンスでそんな事をする人は他に誰も居な
かったのです)。
アメリカ人でも、仏教徒であったり、仏教の教えに強い影響を受けているアーティストが沢山います。
昨年グッゲンハイム美術館での四面を映像で取り囲んだインスタレーションが素晴らしかったビル・ビィオラのビデオは、緑深い場所にある四角い池に、人間が現れたり消えたり動いた・・・そこには、日本人である私がお寺などで感じる「強い、けれど静かな気配」をひっそりと、しかし強く感じさせました。
一方、アメリカにおける仏教の流れの中には、いわゆるヒッピー的文化が取り入れてきた部分もあります。アレックス・グレイなどはまさにその潮流に居た作家。彼等の捉える仏教とは、薬物によって見える幻覚と強く結びついています。彼曰く「曼陀羅などの持つサイケデリックな画像は、そういうビジョンと繋がっている。」
この展覧会の順路は、美術館のど真ん中に寝そべるルイス・デ・ソトの仏像から始まります。インストール時はただのビニールの固まりかと思っていたら、ある日空気が入って膨らんで、いきなり巨大な寝仏様に。ここは私のスタジオの入口でもあったので、毎日仏様の横を通って出入りするのは不思議な気持ちでした。スタジオで制作していても、ビデオ作品から流れるお経や立体作品の一部となった木魚の音が聞こえてきて閉館後の作業がためらわれました。
仏教というものがどのような形でアメリカに浸透しているのか、仏教国である日本から来た私がアメリカでそれを観察するのは大変面白い機会でした。そこには驚きが多かったけれど興味深い数々の見方がありました。内側に居るとなかなか外側は見られないものです。 |