女子美術大学同窓会ホームページ
art&commnuication
ライブラリ
エアメール
ニケ・プロジェクト
ヴィーナス達
同窓会の歴史
 
アート・インフォメーション
同窓生の展覧会
同窓生の出版物
同窓生の受賞
同窓生主催のギャラリー
リンク集
WEB同窓会新聞
本部からのお知らせ
支部情報
グループ情報
幹事会からのお知らせ
クラス会のお知らせ
同窓会とは
ビジョンと目的
組織図
業務と主な活動
住所・地図
コンタクト
登録内容変更届
情報提供
ご意見・ご感想
大学からのお知らせ
女子美卒業生サポート
女子美情報
 
TOP
エアメール
up date 2007.08.07

バックナンバー>>>

【ニューヨーク通信 第18号】


□ 流麻二果・ナガレマニカ(1997年芸術学部絵画科洋画専攻卒業)


番外編:閑散とした夏のNYを離れて灼熱のアリゾナへ  

プレイリードッグ
Arizona Desert Museumで
目があったプレイリードッグ
サボテンと野鳥
サボテンと野鳥
腕のように出ている部分は70年で生えるそうです。つまり2本出ていたら140歳以上!
マウンテンライオン
お昼寝中のマウンテンライオン
アルコサンティ
アルコサンティ模型、
グレー部分が完成しています
アルコサンティ
アルコサンティ
ゲストハウス
ゲストハウス
写真では見えにくいですが、天井にソレリデザインのタイルが広がって美しいです
ただでさえ夏は長いバケーションを取るのが当たり前のアメリカ。日本に比べれば随分マシですが、アメリカ内では多湿なNYを避けて皆郊外へ出ていってしまいます。観光客の多いスポットは逆にごったがえしますが、街全体は本当に静かになります。アートも、ギャラリーは軒並み8月は休業ですし、美術館も来る9月のシーズン開幕に向けて静かなものです。

こうなると誰しもどこかへ行きたくなる。私も、女子美の付属で一緒だった友人が今はアリゾナで考古学の博士課程にいるので、この夏訪ねてきました。

アリゾナは夏の平均気温が40度を越えています。湿度が無くカラリとしているので、みなさんが想像される40度よりは随分マシだと思いますが、それでも昼間に外にいるとまるでトースターの中にいるようです。日焼け止めは必須だし、水分補給もただの水では役不足で、塩分の入ったゲータレードを飲みます。
スーパーにはゲータレードが何十種類も並んでいて、ボトルのサイズもNYで見るのより大きいです。でもその大きなボトルを飲み干してしまう程に暑い。

アリゾナの街にはサボテンが沢山生えています。少し郊外に車を走らせるとすぐにサボテン林が広がります。林と言っても砂漠の中にサボテンがニョキニョキ生えていて、高度によって林が濃くなったり無くなったりするのを見ながらのドライブは楽しいものです。

サボテンや砂漠について知ろうとアリゾナ・デザート・ミュージアムへ行きました。
ここは広大な敷地の中に植物園や動物園があります。様々なサボテンを観察しながら歩いていくと、昆虫館で巨大クモを見たり、は虫類館で枝にカモフラージュしたヘビを見たり出来るのです。そして動物園は檻のない自然な姿で飼育されており、とても近くで観察出来ます。マウンテンライオンの巣穴に回り込むとガラスごしの目の前(!)にお昼寝していたり、穴から出てきたプレーリードッグと目があったり。

Arizona Desert Museum:
http://www.desertmuseum.org/

これだけでも東京やNYの喧噪から遠く離れてすっかり異空間ですが、今回は更に異なる空気の場所、桃源郷を訪ねてきました。

建築家フランク・ロイド・ライトの弟子であったイタリア人建築家パオロ・ソレリ。彼はスペースやエネルギーを最大限に有効利用する事で建築とエコロジーを一体化して実現しようとしました。それをアーコロジーと呼びます。1960年代にフェニックス郊外に建てたコサンティは小規模ながらその哲学をふまえた建物として今も公開されています。彼自身の住居でもあります。そしてそのアーコロジーのプロトタイプと言えるのがアルコサンティという都市計画です。

しばらく砂漠の中の高速を走り、何も無い出口を出て不安げに砂利道を走ると、遠くに何やら建物が見えてきます。完成すると約6000人が住める都市となる計画ですが、40年近くたった今完成しているのが5%、、、道のりは長い。生態系の一部として捉えて構築された建物は、この灼熱の夏を如何に涼しく、そして高地の冬を如何に暖かく過ごせるか計算されていて、全ての電気は太陽エネルギーです。食事も自給自足で牛や鶏もそこで飼育されています。建築工費などはソレリデザインの風鈴ベルを作ってお土産物として販売し、それを資金源としています。なので工事はとてもゆっくりと進んでいる訳です。

4週間と3ヶ月の2種類のワークショップは、アーコロジーの哲学を学ぶ事から始まり、工事の手となってコミュニティの中に入っていきます。そのまま居残る事も可能で、実際竣工当時から住んでいる人や、エンジニアの仕事を辞め家財を売り払い夫婦で越してきたという人も居ました。今回私達は単なるビジターとして宿泊しましたが、モダンなデザインの部屋には清潔なシーツとタオルがホテル並みに用意され、オーガニックな朝ご飯がついて一人20ドル。ゼロ一つ増やしてもNYでは泊まれません。

こういう自給自足の観念からヒッピー文化が根付いています。もちろん建築の勉強に来る人も多いのですが、ヒッピー傾向の人も興味を持って沢山やってくるようです。日本ではヒッピー文化に触れていない世代の私ですが、アメリカに来て色々な人に会いました。ヒッピーファミリーで育って自分だけ抜けて奨学金で学歴を得た友達もいます。彼らの持つ空気は確かにとても気持ちよく、ここアルコサンティにも居続けたくなってしまいますが、社会と隔離しがちなせいか、現在この場所がほとんど知られていなくて(アリゾナの人でさえも)本当に桃源郷と化しがちなのが気になりました。

アーコロジーの哲学も、この建物も素晴らしいのだから、もっと知られてもいいと思うのですが。

Arcosanti:
http://www.arcosanti.org/

アメリカには、いや世界にはまだまだ色んなところがあるのですね。



 
credit