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美味しい料理の背景には、理にかなった手順がある
料理教室を主宰するようになって、ちょうど今年で10年を迎えました。スタート当初から今日までずっと私がこだわってきたのは、単純に美味しい料理をお教えするのではなく、なぜこのように料理すると美味しくなるのか?この手順にはどのような意味があるのか?などといった理由までお教えすることでした。料理の手順にはすべて理にかなった裏づけがあり、その部分まで含めてお教えしてこそ、報酬をいただくに値すると思ってきたからです。実際、料理というのは実はとても科学的なものなのです。例えば味付けするときに塩より砂糖を先に入れたほうが良いと言われますが、これにも砂糖のほうが分子が大きく、小さい塩の分子が先に食材に入ってしまうと、大きな砂糖の分子が入りにくいからなどの理由がちゃんとあるのです。
無駄のないレシピが、素材の持ち味を引き出す
なぜこうすると美味しくなるの?というのを調べるのは、私にとってとても楽しい作業です。それに何といっても、理にかなった段取りで作ると、食材の味も活きていて美味しいのです。また、理にかなった料理を追求すると余計な手順を省くことができるので、私のレシピには無駄な段取りがありません。こうした考えから生まれたのが“「ただいま」から20分のひとりぶんごはん。”で、女性向けWebサイトでご好評いただき本にもなっています。さらに来年早々には、この10年でまとめたものの集大成として文化出版局から本を上梓する予定で、理にかなった料理の魅力についてお伝えしたいと思っています。
家庭料理だからこそできることが、たくさんある
教室でお教えするのはあくまで家庭料理です。プロとは違う手順やメニューに仕上げてこそ、夫や子供がほっとできる味になるのだし、油を減らして…など、家族の健康に配慮した工夫もできます。テーブルコーディネートについても、箸を使うスタイルで提案するなど、普段に役立つことを大切にしています。パーティコーディネーターの頃は、アーティスティックな盛り付けなどに興味を持ったこともありました。でも今は家庭料理だからこそできる表現や美味しさの追求に面白さを感じています。
日本の食についてもっと知り、伝えたい
日本のスローフードは以前から私のテーマでしたが、歳を重ねるごとに日本の食に対する関心は高まっています。洋菓子やワインに詳しくなるのも素敵ですが、その前に足元を固めるというか、やはり生まれ育った国の食文化について知らなくては、と思うようになりました。海外の人から箸について尋ねられ、何も答えられないというのは、やはり恥ずかしいですよね。
そこで2年ほど前から和菓子の職人さんのもとへ通い、和菓子の作り方やその原理を教えていただいていました。茶道のお稽古も再開したところです。このところ雑穀や豆類も注目を集めるようになってきましたし、料理教室でも和菓子のデザートを時々お教えするようになりました。来年あたりから本格的に取り組み、いろいろカタチにできると思います。
食の世界で、創造を楽しむ
同窓生の中には、色づいた柿の葉を見たら「あの葉を描いてみたい」と思われる方が多いでしょう。それが私の場合は「あの葉を盛り付けに利用してみたい」という発想になります。目的は異なりますが、創造する喜びや表現を楽しむ気持ちはきっと共通ではないでしょうか。今後も私なりの料理に対する考えで仕事をしていきたいと思っていますので、どこかで私のレシピに触れる機会がありましたら、一品でも作ってみていただけたら嬉しいですね。
(談) |