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ヴィーナス達
up date 2004.02.03

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知っていますか?舞台美術の世界で活躍するこの人を。


礒沼陽子さん  

礒沼陽子
女子美術大学洋画油絵卒業
礒沼陽子プロフィール
女子美術大学洋画油絵卒業後、共立女子大学大学院文芸学部(演劇専攻)卒業。
tpc(シアタープロジェクト東京)旗揚げ公演の絵画制作をきっかけに美術助手となる。
ボブ・クローリー、ヴィッキー・モーティマー両氏のアシスタントを経て、'96年tpc交換留学生としてLondonのモトリー・シアター・デザインコースへ。
卒業後の'97年『マッチ売りの少女』『署名人』で本格デビュー。
N.Y.へACCプログラムにて留学('02)
主な作品:『三人姉妹』(London)『火遊び』(London)『娘に祈りを』('98/第6回読売演劇大賞優秀スタッフ賞)『Suppliants』('98London)『橋からの眺め』('99)『令嬢ジュリー』('99/第27回伊藤熹朔賞、第7回読売演劇大賞優秀スタッフ賞)『Ballad of Yachiyo』('00 London)『セールスマンの死』('00)『ペンテコスト』('01)『三人姉妹』('01)『Don't trust over 30』('03)『法王庁の避妊法』('03)等



女子美時代、「キャンバスって何故、四角いの?絵ってどうして枠というもので区切って平面の中に閉じ込めてしまうの?」と疑問に思い、先生にも質問を投げかけていたとき、礒沼陽子さんはあるバレエ公演を観に行った。そこには二次元の書き割り(パネルに描いてある絵)なのに、枠を越え、舞台という空間の中で踊り手や照明、音楽etc...と一緒になって存在していた舞台装置があった。キャンバスの疑問から少しだけ解放された気がした彼女は舞台美術の世界に興味を持ち始めた。
女子美術大学洋画油絵を卒業したのち、舞台美術家として国内外の舞台を手がけている礒沼陽子さんに、現在に至るまでのお話を伺った。


 
 
NAKED
NAKED/ネイキット――裸――
 2000年 ベニサン・ピット
SUPPLIANTS
SUPPLIANTS
 1998年 ロンドン・オフウエストエンド
令嬢ジュリー
令嬢ジュリー
 1999年  ベニサン・ピット
 第27回伊藤熹朔賞受賞
 第7回読売演劇大賞優秀スタッフ賞受賞
 
三人姉妹
三人姉妹
 2001年 シアターコクーン
法王庁の避妊法
法王庁の避妊法
2003年 世田谷パブリックシアター
美術助手になったきっかけは修士論文とお礼状

女子美を卒業後、共立女子大学大学院の演劇専攻に進みました。1年のとき修士論文を書くため、江東区にあるベニサン・ピットという劇場の支配人さんの娘さんでもあり、当時松竹で演劇のプロデューサーをしていた方にお会いしたんです。その後、自分の個展の案内状と合わせてお礼状を出したり、舞台美術に興味があることも話していましたので、そのことを覚えていてくださった娘さんが、tpt(シアタープロジェクト)という劇団の立ち上げで「小道具で絵が必要なんだけど、描いてみない?」と連絡をしてくださったんです。まだ学生でしたが、これをきっかけに、そのまま劇団の手伝いを始めました。

初めの頃は、小道具で絵を描いていました。その後、演出部スタッフになって実際の舞台を動かしたり、小道具を用意したり、地方公演のために旅をしたりと、自分とは無縁だと思っていた体育会系的な下積み時代を2年程送りました。


「神様」のアシスタントをしたのだから、もうアシスタントはやめると決めた!

tptの芸術監督で演出家デヴィッド・ルヴォーや、私がアシスタントをしていた美術家もイギリス人だったので、自然と勉強するならイギリスかなと思っていました。そして、tptの第1回交換留学生としてロンドンのモトリー・シアターデザインコースへ行きました。

その間、ボブ・クローリーという、私に舞台美術家を目指す決心をさせた人のアシスタントをするチャンスが巡ってきました。私にとってこの方は「神様」ですから、「神様」のアシスタントをしたのだから「もうアシスタントはしない!」と心に決めました(笑)。

私のデザイナーとしてのスタートはtptでの公演でしたが、これはモトリーの最後の講評会に来たデヴィッドが決めてくれました。ロンドンの滞在予定は当初1年でしたが、日本とイギリスで仕事をしながら、結局4年間住みついてしまいました。

日本では美術家の弟子になって何年も経験を積んだり、劇団に所属してその中で仕事を得るということが多い中、私は海外での経験や外国人との仕事が多かったため、とてもラッキーな形でスタート出来たのだと思います。

また、海外の場合、仕事の上では年齢など関係なくお互いに名前で呼び合い、対等に皆で意見を交換し合って創り上げて行くという環境で、素晴らしい経験でした。

初めての仕事では、小さかった模型が巨大化して建ったことに感動したのを覚えています。役者さんがいて、お客さまがいることに安堵したと同時に「空間が出来た」と思いました。無事に幕が開いて、楽屋のモニターから見ていると、温泉にでも入っているような、幸せな脱力感を感じます。その瞬間が好きで、やめようと思いながらも「またやろうかな」と思ってしまうんです。


チケット代分の責任

仕事の進め方はその作品ごとに違いますので、決まった制作スケジュールというのはありません。舞台絵図を描く方も多いのですが、私の場合は模型を作ります。実際の舞台で使って欲しい素材を使い、できるだけ実物と近い形になるようにしています。舞台稽古の1ヶ月前には、工場に渡してセットを作ってもらいます。それからは、私が工場に出向き、色を決めたり、一人残って自分で直接加工したり、背景さんを呼んで一緒に作ることもあります。「ネイキット」という芝居を手がけたときは、私がイメージで捉えてしまったため、「言われても分からないから自分でやれ」と言われてしまったんです(笑)。ですから、自分で1週間泊り込んで制作しました。マネキンを37体、いろんな人に見立てながら、包帯を300本染めてぐるぐる巻きにしたんです。

芝居では、制作した物に対して絵と違った責任を感じます。絵の場合、見に来た方が気に入って買って下さったとき、初めてお金が発生します。けれど、芝居は観る前にチケットを買っていただきますから、お客様に満足していただけるよう、常に意識していますその上で、役者さんが何でもできる空間、「邪魔しない空間」を創りたいと思います。


若い人へのメッセージ

女子美はとても自由な校風で、競争がなく、「マイペースな私」を確立できた所です。おかげで、とてもノビノビと学生生活を送れたと思います。美術には「これが正しい」という答えは無いので、人と争うのは無意味だと思います。ひとつの作品を全員が支持するなんてありえないですから。それに、最初から舞台美術を始めた人は空間で捉えますが、私は平面的なことを絵で学んだので、それが強みになっていると思います。卒業した後も聴講生として学校に行きましたけれど、やっぱり女子美が一番根本にあると思います。だから、学生さんには存分に学生生活を楽しんで欲しいです。私は模範生徒ではありませんでしたが、学校は大好きでした(笑)。



最新作品公演情報

「ワニを素手でつかまえる方法」タ・マニネ第3回公演
『浮雲』『悪戯』の岩松了と小林薫のユニットが放つB級エンターテインメント巨編
出演:小林薫/荒川良々/岩松了/緒川たまき/小澤征悦
   片桐はいり/佐藤銀平/田中哲司/徳井優/三谷昇
作・演出:岩松了

●大阪公演:2004年2月14日(土)15日(日)シアター・ドラマシティ
 お問合せ:シアター・ドラマシティ 06-6377-3888 http://www.dramacity.co.jp
●東京公演:2004年2月20日(金)〜3月7日(日)パルコ劇場
 チケットお問合せ・ご予約:キョードー東京 03-3498-9999
●福岡公演:2004年3月12日(金)13日(土)北九州芸術劇場 中劇場
 お問合せ:ピクニック 092-715-0374 http://www.picnic-net.com

 
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