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ヴィーナス達
up date 2004.09.07

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幅広い分野で活躍する女子美同窓生、今輝いている女子美魂のヴィーナスたちを紹介します。


5月17日から29日に同窓会主催で開催された「美の仕事−女たちのランウェイ」展で紹介された8人のクリエイターたちの仕事の軌跡を追ってインタビューしていきます。今回は山本千絵子さんに登場いただきます。

やまもとちえこさん

やまもとちえこさん
1987年
女子美術大学芸術学部
産業デザイン科デザイン専攻卒業
パッケージデザイナー

女性にとって身近な存在であり、また衣食住と同様に、なくてはならいもの…といえば“化粧品”ではないでしょうか。山本さんは女子美術大学付属中学校・高等学校を経て、女子美術大学に入学。大学卒業と同時に、女性ならではの感性を生かせる仕事をしたい、との思いから(株)資生堂宣伝部へ入社します。入社後は、「アユーラ」をはじめ多くのブランドを担当し、現在も2人のお子さんを育てながらパッケージデザイナーとして活躍中です。
そんな山本さんに、パッケージデザイナーを志すまでのお話や、現在のお仕事などについて伺ってきました。



社内用ペーパーバッグと包装紙
山本さんデザインによる社内用ペーパーバッグと包装紙。入社2年目の社内コンペで選ばれ、現在も使用されている。
アユーラ
2001年にデザインした
アユーラのフレグランス。
化粧惑星
「化粧惑星」のパッケージ。コンビニで売れることを目指し、コンセプチュアルな部分から担当した。
REVITAL
今秋発売された「REVITAL(リバイタル)」のコンパクト。従来のようなフックピースがなく、折りたたみ式の携帯電話のような仕組みで開閉する。『使いやすさのために新しい技術を役立てることもパッケージデザインの大切な要素』と山本さん。
ザ・ギンザ本店のディスプレイ
銀座通りに面したザ・ギンザ本店のディスプレイ。2000個あまりの現物のアイカラーで正方形を構成したもの。パッケージデザイン協会で優秀賞を受賞した作品。
ELIXIR
資生堂の有名ブランドのひとつ
「エリクシール」。
ブランドイメージを損ねることの
無いように気を配りながら、
時代に合わせたパッケージに
リニューアルさせている。

 
手に取って使えるものを創りたい。

父が日本画家なものですから、美術の世界には子供の頃から自然と触れていました。ただ、成長するにつれて、私は純粋な芸術絵画の世界ではなく、使う目的があったり社会と接点のあるものを創りたいと思うようになっていました。それでおのずとデザイン科へ進学したわけです。そして、1、2年生の間に様々なデザインを学ぶうちに、漠然とですが、広告などの平面的なものよりは手に触れることができるもの、立体的なものをデザインしたいと思うようになったのです。
化粧品のデザインをしたいと思うようになったのは、3年生の春休みに企業研修を受けた後からです。企業研修では電機メーカーへ行かせていただきましたが、インダストリアル・デザイン(工業デザイン)の世界は構造優先でとても理詰めだなぁと、かなり違和感を覚えてしまったのです。そして、この体験をきっかけに、女性だからこそ自然に興味が持てるものや自由な感性を生かせる分野を目指したいと思うようになりました。そうして、たどり着いたのが化粧品のパッケージデザインだったのです。


パッケージデザインの世界も様々。

パッケージデザインには、四角い箱に商品名やビジュアルをどのようにレイアウトするかといった、グラフィック的な仕事もありますが、私はカタチの追求にも興味があり、そんな意味でも化粧品のデザインに惹かれていたのかも知れません。
入社後は、「アユーラ」をはじめ様々なブランドを担当してきましたが、常に複数のブランドを同時並行でやっているのが普通です。また、資生堂では、ブランドのメインターゲットと同世代のデザイナーがパッケージを担当する傾向があります。担当する商品が、年齢に合わせて変化するのも、いかにも化粧品らしいところかもしれませんね。
私が入社したばかりの頃は社内コンペが多く、ハードでしたが、とても鍛えられました。社内用のペーパーバッグと包装紙も社内コンペで決められたもので、実は私のデザインしたものが使われています。


パッケージデザインの役割・その1。

「アユーラ」は、今から約10年前に、プロジェクトがスタートしたブランドで、立ち上げ当初から現在までずっと携わっています。「アユーラ」のように、イメージが市場に浸透している既存ブランドの場合は、普遍的なブランドコンセプトを守りつつ、時代に調和した新しさを持つパッケージへとリニューアルすることが大切です。ブランドが築いてきた財産を守るというか、例えばお客様が化粧品売場で特定の色やロゴをご覧になっただけで『あっ、このブランドね』とわからせる必要があります。そして、そのうえで新しい魅力も感じさせるわけです。そこがやり甲斐でもありますが、デザインするうえでは難しいところですね。


パッケージデザインの役割・その2。

新規ブランドをデザインする時は、既存イメージに縛られることがなく、コンセプトの部分から自由に提案できるところが魅力です。商品開発から指示されるだけでなく、パッケージ担当者としていろいろ提案することも多いですね。最近の例で言えば「化粧惑星」がこのタイプです。資生堂がコンビニエンスストアの化粧品市場へ初参入するというものだったので、広告担当者やコピーライターと、どう売るかといったコンセプトから考え、それに合うパッケージを制作するといった感じでした。
パッケージデザイナーの中には、完成したカタチやデザインそのものに自分の個性を出す方もいます。でも私の場合はこの商品にとって最もふさわしいパッケージを与えてあげることを最優先としています。私が個性を主張するのは、デザインの発想の仕方といった工程の部分です。そういう点でも新規ブランドのパッケージデザインは楽しいですね。


ディスプレイを担当して、発想を拡げる。

私が思い切り自分の個性を打ち出して楽しんでいるのが、ディスプレイの仕事です。最近は時間がなくて、あまりやっていないのですが、資生堂ではやる気があればジャンルを問わず、いろいろな仕事ができます。ディスプレイは売り上げを云々とか、市場データが…といったしがらみもないので、アート心を解放できるのです。
パッケージデザインはもちろん大好きですが、どうしても『あと0.1ミリ材質を薄くしたい』とか視野を狭くしてしまう特性があるのです。ですから、時折ディスプレイをやることが、広い視野・思考でデザインする勘を忘れない良い機会になっている気がします。


常に勉強は必要。

最近思うのは、どのような仕事でもそうかもしれませんが、いくらキャリアを重ねても勉強は必要ということですね。ひとつのプロジェクトを終えると、いろいろとわかったつもりになるのですが、やっぱりそんなことはありません。素材や技術的な知識はもちろん、時代のニーズや流れも知らないといけないし、表現の流行なども常に意識していたいと思います。あまり勉強や研究をせずに、なんとなく完成してしまったものって、見る人が見ればわかってしまうものなのです。ですから、これまでの経験を活かしつつも、常に向上心を忘れず仕事に取り組み続けたいと思っています。


「美の仕事」のクリエイターたちの仕事と活躍の軌跡
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