女子美術大学同窓会ホームページ
art&commnuication
ライブラリ
エアメール
ニケ・プロジェクト
ヴィーナス達
同窓会の歴史
 
アート・インフォメーション
同窓生の展覧会
同窓生の出版物
同窓生の受賞
同窓生主催のギャラリー
リンク集
WEB同窓会新聞
本部からのお知らせ
支部情報
グループ情報
幹事会からのお知らせ
クラス会のお知らせ
同窓会とは
ビジョンと目的
組織図
業務と主な活動
住所・地図
コンタクト
登録内容変更届
情報提供
ご意見・ご感想
大学からのお知らせ
女子美卒業生サポート
女子美情報
 
TOP
ヴィーナス達
up date 2004.11.16

バックナンバー>>>
幅広い分野で活躍する女子美同窓生、今輝いている女子美魂のヴィーナスたちを紹介します。

■ ミニ情報 新井瑠美子さんが「2004湘南江の島 海の女王」に決定 藤沢市の親善大使を勤めます。>>>

今回は5月17日から29日に同窓会主催で開催された「美の仕事−女たちのランウェイ」展で紹介された8人のクリエイターたちから、メディアデザイナー小池葉子さんの仕事の軌跡を追いました。


小池葉子さん

小池葉子さん
1985年
芸術学部芸術学科造形学専攻卒
(株)NHKアート 総合デザイン・美術プロデューサー

1996年『NHKスペシャル生命』でエミー賞グラフィックデザイン部門受賞
1997年 大河ドラマ『毛利元就』のタイトルCG
1999年 連続テレビ小説『すずらん』のタイトル作成及び本編CG合成
2001年『北条時宗』のCGディレクションNHKスペシャル
    「世紀を越えて」のアートディレクション
2003年 タイトル作成、映像デザインを担当した
    NHKスペシャル『こども・輝けいのち』
    は第30回日本賞受賞

「放送メディアの分野でCG表現を切り開く先駆的デザイナー」
女子美術大学芸術学科1985年卒業の小池葉子さん。現在はNHKの放送の美術を担当するNHKアートのチーフデザイナーとして活躍、NHKスペシャル「生命」などの大型番組のCG映像から、朝の連続ドラマ、大河ドラマのタイトルや、特殊合成まで幅広く手がける。この夏からは、来年放送の大河ドラマ「義経」で、合戦シーンや、大海原をかける帆船の映像を、映画顔負けの合成技術で紡ぎ出している。
高校時代は、なんとなく、映像関係の仕事につきたいとだけ思っていた小池さんが、どう社会に飛び出し、チャンスをつかみ、自らの表現を仕事として実現していったのか、無我夢中で突き進んできたという18年間を振り返ると、実は、立ち返るのは、大学時代の経験だったという。


 
小池 葉子NHK 「キーパーソンズ」 タイトル 小池 葉子NHK 「キーパーソンズ」 タイトル
NHK 「キーパーソンズ」 タイトル
黎明期に飛び込んだテレビCGの世界

私がNHKの放送に関わるようになった頃、番組テロップは、まだ手書きの時代でした。ましてやCGで、シーンを作ったり、過去の恐竜や、建築物を再現する等と言うことは夢のまた夢だったように思います。そのようななかで、初めて大きな仕事にめぐりあったのは、入社2年目のことです。当時、出始めのコンピューター(Windowsなんてとんでもない、なんのOSもないころです)を使って、アニメーションに挑戦するという企画でした。下絵を描いてくれたのは漫画家の方です。私は、独学でプログラムを組み立てて、動画にしていく担当でした。肉筆の味わいをどう生かし、絵を動かすのか、ペンのタッチを出すためだけに、何週間も試行錯誤と議論を繰り返したのです。マシンも旧式で、一ヶ月かけて作ったアニメーションのデータが収録直前に消えてなくってしまうというようなトラブルもしょっちゅうでした。
何しろ初めての試みで、チームの技術者の方々と、一丸となって格闘の連続でした。ただ、「新しいこと」に挑戦するという刺激に突き動かされて、夢中でマシンに向かっていたことを覚えています。今、振り返ってみると、いわばゼロからのスタートで、ものを作ったことの自信が、その後につながっていったのではと思います。


CGディレクターの誕生

私自身の次のステップとなったのは、NHKの看板番組である「NHKスペシャル」との出会いでした。NHKスペシャルは、大型のシリーズになると1年〜2年の制作期間を費やし、総勢数十人のスタッフで制作されていきます。テレビは何でもはいる不思議な箱のようなものです。そして、その箱の中には、時代を映し出すあらゆる出来事、事象が次から次へと映し出されていきます。いわば時代によりそうメディアなのです。それ故、活字や音声メディア以上に、技術の進歩にも敏感です。パソコンの登場、MACというようなインターフェースのよいOSの登場など、CG制作に関するテクノロジーのすさまじい進歩に無関心でいる訳がありません。NHKスペシャルでは、制作演出のディレクター側からも、次々とCGを使った映像表現を追求する声が上がってきていました。
今から15年ほど前のことです。
その中で、おそらくは「他にかわりそうな人がいない…」という消極的な理由にすぎなかったのであろうと思いますが、CGアニメを担当していた私に声がかかりました。
NHKスペシャル「脳死」で、人間の体内を、映画の「ミクロの決死圏」よろしくCGによる旅で表現してくれないかというのです。平面2Dのアニメーションとはことなり、今度は、動きのダイナミックな3Dの表現です。作業量の膨大さは比べものになりません。打ち合わせを繰り返すごとに、チームのメンバーは増えていきました。ディレクターを中心に、デザイナーの私、CG制作の資料を撮影するカメラマン、マシンオペレーションを担当する技術者たち、人間の臓器を描くアドバイザーとしての医学専門家…そして、ついには、スパコンを提供協力してくれる企業の方々まで。テレビ制作の世界では、もちろん番組全体を責任もって作っていくのはディレクターですが、逆にいうと、CG制作にだけ深くコミットするわけにはいかないのです。同時に、デザイン、コンピュータの高度の専門性も要求されます。そうしたことから、自然と私の立場は「ひとりのデザイナー」から「CG映像ディレクター」とでもいうようなものへと変わっていきました。
最終的には、番組に最大限の貢献をするべくCGチーム全体を率いていくのです。この経験は、私自身の仕事へのモティべーションを高めてくれたという意味でも感謝しています。
純粋にものを作るだけの喜びから、チームで動く楽しさ、一人一人の力が足し算ではなく、かけ算で結果に結びついた時の高揚感。これは作家的な表現を通じてだけでは味わうことのできないものです。そうした一連の仕事のなかで、NHKスペシャル「生命」のように、CGによる古代生物の精緻な再現が評価され、アメリカの「エミー賞」受賞作品も生まれていったのです。


女子美術大学から受け取ったもの

現在、テレビのCG表現がCG単体でのみ完成することは、まれです。実映像との合成、特撮映像との加工によって、最終的に、シーンを形成していくことが多くなってきています。そして、あたらしいデザイナー仲間も、年々増え、NHKアートだけでも片手を越える「CGデザイナー」が育っています。私は、後輩たちと話す際に、ふたつのことだけは、きちんと伝えたいと思っています。それは、「挑戦することの勇気」と「自らの感性を信じること」です。加速度的な技術革新により、たえず、表現が刷新されているフィールドで生きていくには、目の前の、新しいこと、やっていないことはすべてチャンスなのです。そして、同時に必要なことは、「自らの感性を信じる」ことです。矛盾するようですが、時代が移り変わっても作り、伝える相手は人間なのですから。
こうして来し方を振り返るときいつも思い起こされるのは、4年間を過ごした女子美の日々です。ゼミの田中先生は、当時、50才をこえていらしたと記憶しておりますが、絶えず、最先端のコンピュータ企業の技術者と交流をつづけていらっしゃいました。その中で、ハイエンドの技術者と一緒に実践的な学びをさせていただきました。そして、教室だけでなく、実習や友人との旅などの活動を通して、あらゆる「美なるもの」にふれていた豊かな時間がありました。大学が私にプレゼントしてくれたものは、今でも私の、次の一歩を支えてくれているように思います。


メディアデザイナーを目指す方々へ

映像のデザインを仕事にしようと考えているなら、基礎になる色の感覚やロゴのデザインのセンスを学生のうちにしっかり身に付けておく事が重要です。そのうえで、たくさんの作品に触れておくことはとても役に立ちます。映画や、CM、ウェブのデザインや、アニメーションなどだけでなくグラフィックデザインにも見るべきものがたくさんあります。たくさんの機会に触れ、よく遊び、感覚を磨いておけば、世の数多の作品の優れているところ、そうでないところがわかるようになってきます。あとは、好きなものや得意な分野があって、誰もまだやっていないようなことを見つけたら、自信をもってそれを大切に育てて下さい。今はいろいろな映像制作手法があり、個人でも作品を作る機会が増えています。コンテストに出すのもよいでしょう。どんどん挑戦してみることをおすすめします。


「美の仕事」のクリエイターたちの仕事と活躍の軌跡
ダイジェストはこちらです>>>
 
credit