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ヴィーナス達
up date 2006.06.27

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幅広い分野で活躍する女子美同窓生、今輝いている女子美魂のヴィーナスたちを紹介します。


桑島十和子さん


桑島十和子さん
1992年 女子美術短期大学
造形科絵画教室卒業
美術監督
女子美術短期大学 造形科絵画教室1992年卒業
主な作品
映画:『下妻物語』『嫌われ松子の一生』
CM:ライフカード/イオン/キシリッシュ/アリエール(P&G)他

5月27日から公開されている映画、『嫌われ松子の一生』に美術監督として参加している桑島十和子さん。ミュージカルのように、くるくると派手に場面が展開して行く中、主人公、松子の心情をバックに映し出す華やかな美術も、この映画の見どころとして注目されています。映画に参加してから取材も多くなったと語る桑島さん。CM撮影の準備で忙しい中、スタジオでお話を聞くことが出来ました。



■絵を描いていれば、いつかこの仕事に繋がると思っていた

子供の頃から、物語に合わせて絵を描くのが好きで、中学生の頃、映画やテレビを見ながら役者さんの背景が、物語に合わせて作られてることに気がついたんです。でもその仕事への入り口が分らないので、とりあえず絵を描いていれば、いつかその仕事に繋がると思っていました。そこで、高校から絵を学べる学校があることを知って、受験したのが女子美です。
実際にこの世界に入ったきっかけは、短大に入ってからです。学校の廊下の突き当たりに、張り紙が1枚だけ貼ってあって、それが光輝いて見えたんです。見ると東北新社で映画制作をする為、スタッフの募集をしているものだったんです。すぐ「これだ!」と思って、誰にも見られないよう剥がして(笑)電話して、面接を受けて、採用してもらいました。
最初は現場の雑用を何でもやらされました。皆のお弁当の世話や、道路の交通整備とか。その映画のときの美術デザイナーが、私の師匠です。映画が終わった後も、ちょくちょく師匠が呼んでくれたので、現場にバイトという形で入り、そのままそこに就職しました。その頃は毎日が楽しくて、あまり勉強をしたという覚えがないんです。見よう見まねで覚えて、そのうち美術デザイナーとしてかり出された感じです。


■仕事のペースはCM1作品で2週間

この仕事で、最初にやることは、まず「考える」ことです。監督から来た絵コンテを見て、それを見ながらイメージを膨らませます。揃えられる物も一緒に考えながら、ラフスケッチを描いて監督に出します。そこで、決まったらカメラマンや制作スタッフにOKを取る。するとそこから更にクライアントへ回ります。クライアントからOKが出ると本格的に制作しますが、制作を最初から始めていないと、撮影に間に合わないので準備は進めておきます。
セットの立て込みは1日で終わるときもあるし、1週間かかるときもあります。それはお金によりけり(笑)。私の仕事は、デザインをして図面を描いて発注し、そこから塗り屋さんや、大道具さん、鉄骨屋さんなどのスタッフが入って来くると、そういうスタッフの総指揮になります。現場には最初から、セットをバラす最後までいます。中には現場に来ない美術さんもいますから、いろいろです。

■最初に仕事を任されたのは25歳のとき

18歳からこの仕事を始めたので、他の人より結構実務経験は長いことになります。でも25歳で仕事を任されたのは、とても恵まれていたと思っています。その当時この仕事に女の子はいなくて、大勢の男の中に、女一人でしたから覚えられたのも早かったんだと思います。
私の仕事は殆どCMです。映画は3年に1本くらいでなければ、会社が大変なんです(笑)。月に最低で、3本ぐらい。3本では少ないのでそれ以上やることが殆どです。ただ、制作の最初から最後まで、現場にいるので1週間に1本じゃないともたないし、仕事が粗くなるのもいやなので、それくらいのペースで仕事をするようにしています。
準備期間はCMの場合、最初の打ち合わせから2週間くらい。撮影そのものは、ほぼ1日でやります。撮影が4日あれば大作ですね。準備や手配をしている間にクライアントのOKを貰いますけど、返事が来る頃には、もう1週間くらい経っているので4、5日後には撮影しなければいけない場合が殆どです。とにかくそれまでに、全ての物を間に合わせるのが毎回大変ですね。
外での撮影では、もともとあるものを使ったり、ロケハンにも行きます。商品を扱うときに違う会社のものがあると隠したり、季節違いの撮影のときは、土手を緑に塗ったりします。園芸屋さんが使用する、ゴルフ場に撒く塗料があって、それを土手の枯れている草の上に撒いて塗ります。塗った塗料は雨で落ちるので、色はそのままにして撤収するんです。もちろん許可は取って塗りますよ。でも、あまり草には良くないので、最近はそんなにないですね。CMも最近はロハスで(笑)自然を利用してなんとか作るようにしています。桜に造花を加えて咲かせたり、木ごと持って行ったり。でも絶対、本物には負けるんです。


■美術をやっていて楽しいとき。苦労したけど楽しかった作品。


いつも楽しいですが、閃いたとき。あ「これっ!」ってアイデアが出たときが一番楽しいです。
苦労した作品は『下妻物語』と『嫌われ松子の一生』です。とにかく美術的なシーンが一杯でしたから。一般的な作品に比べると、遥かに美術の仕事が多いらしいです。私はこれしか知らないので分りませんが、他の映画美術さんに聞くと異常らしいです。だからこの作品は大変だったんだ!(笑)って思いました。お金がないと、ある場所をそのまま撮ったりしますが、この映画にはそういう場所が1箇所もありません。それが100以上、シチュエーションだけで200ぐらいあって、それを全部やりました。
撮影は2ヶ月くらいあったので、飽きちゃって(笑)。皆、普段のCMスタッフなので、他の仕事で一緒になっても1日2日しか会わない人たちが、2ヶ月間毎日顔をあわせていたので、もう会いたくないんです。でもそれが何故か楽しい(笑)。自分の考えた物がそのまま組み込んで貰えたり、現場でいろんなことが起きていましたから。


■映画でもCMでもこっそり遊んだりしてる所


結構いつも遊んでます(笑)。『松子』では、襖の柄を場面によって変えました。柄に家族の安定感や不安を花で表したり、部屋の色を登場人物ごとに変えたり、最後の松子の部屋を真黒にしたり。そういうのを考えたりするのが楽しかったです。
『下妻』でも美術は頑張りましたが、おかげですごい赤字です(笑)。『松子』は『下妻』よりお金をかけられましたが、全然足りていません。そういうのをいつもあの監督は考えて来ちゃうんです。
CMの場合、1本のCMで作るセット数は平均1、2セット、多くて10セット。それは60秒の場合ですね。『松子』の(中島)哲也さんのCMは1本に1億とかお金をかけるんです。それが映画になると100〜200セットですから、いくら予算があっても足りないので、それをいかにやりくりするかにかかってきます。


■映画美術を目指す人へメッセージ


好きなら、続きます。だから、やりたいことならやった方がいいです。
それから、「女子美に行っていた」ということは凄くキーワードになりますよ。どこへ行っても女子美の名前は知られているので、それは凄くいい所だし、とても役に立ちました。
大学に募集の張り紙をしに来た方が、実は女子美出身の演出家の方だったんです。その人から仕事が来るようになって10年後くらいに、「女子美に張り紙を張りに来ました?」って聞いたら、やっぱり本人だったんです!きっかけになった張り紙を貼ってくれた方が、同じ女子美出身の方だったのは面白い偶然でした。



『嫌われ松子の一生』
出演:中谷美紀/瑛太/伊勢谷友介/黒沢あすか/柄本明/荒川良々
監督・脚本/中島哲也
原作/山田宗樹(幻冬舎文庫)
美術/桑島十和子
配給/東宝
製作/「嫌われ松子の一生」製作委員会
上映時間:130分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
(C)2006
「嫌われ松子の一生」製作委員会


嫌われ松子の一生オフィシャルサイト>>>
 
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