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いしばしめぐみさんのパリ通信2010.08.24

有志で集まったシテ内のアトリエ訪問
有志で集まったシテ内のアトリエ訪問
今年の冬は非常に寒かったです
今年の冬は非常に寒かったです
オープンスタジオ前日
オープンスタジオ前日
オープンスタジオ当日は多くの方がアトリエにおとずれてくれました
オープンスタジオ当日は多くの方がアトリエにおとずれてくれました
オープニング会場にて(彫刻家ジャンピエール氏、左)
オープニング会場にて(彫刻家ジャンピエール氏、左)
ボルタンスキー展(グランパレ)
ボルタンスキー展(グランパレ)
春にこちらへ来て夏、秋そしてもうすぐ冬が終わりを告げ始めています。こんなにも季節を感じる1年は初めての事です。

先日パリから電車で1時間弱シャルトルの近く、エキュブレ(Ecuble)という小さな村にある知り合いの家へ滞在してきました。村の入り口には大きな十字架、そして村の中心には教会。そして村の中を歩くと現在も使われている石作りの古い建物が沢山あり、まるで時代が遡ったかの様な錯覚に陥ります。そして村の外には広大な田園風景と大きな空。とても静かで印象的な所でした。何世代にも渡る人々の生活がここで営まれてきており、それはまさに過去の物ではなく、過去から現在へ今も続いている生活、そんな時間の重みを感じずにはいれませんでした。
未来へ続く、発進するコンセプトのもと作品作りをしてきましたが、こちらに来て現在というものは通過点でありそれは過去から現在、現在から未来へ繋がっているという時間のつながりを強く感じるようになりました。以前、パレスチナから来ていたアーティストと出会い話をしていくうちに、お互いが置かれている環境,状況、バックグラウンドは全く異なるのに、今同じこの場所で同じ空気を吸いそしてアートという同じ世界に生きているのだと、不思議な感覚を覚えました。点と点が結びつき、それは線となって無数に広がっていくそんな実感が出きるのも、この場所シテデザならではかも知れません。歴史、生活、宗教そして言語がある1つの基準を作り出しそれが物差しとなる。共通した物差しがあればたいていの事は人から人へ伝わると思うのですが、その物差しを持っていないと「さっぱり伝わらない」といった事があります。(こちらに来て多くの事がそうでした。)ただ、この事をアートという物差しに置き換えてみると「アートには国境が無い」何処かで聞いた言葉ですが、今回は本当にそう思える滞在となっています。

虹を渡ってこの町へ降り立ちました。昨年の4月の事です。そしてそれから1年という時間が過ぎ去ろうとしています。そんなある嵐の翌日に、大きな虹が架かっていました。「ああ旅も終わりなのだ」と思うと同時に、新たな橋が架けられたのだと思う大変印象的な出来事でした。

最後になりましたが、こんなにもすばらしい体験が出来るのも、大村先生を始めとする女子美の皆様のお陰なのだとつくづく思います。残りわずかとなった滞在期間ですが、出来る限り沢山の物を見て吸収していきたいと思っています。本当にどうも有り難うございました。

*今回でいしばしめぐみさんのご担当は最終回となります。
研修でお忙しいところ、毎回興味深いお話をお届けいただきありがとうございました。
今後のご活躍をお祈りいたします。

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