支部グループ情報
支部一覧

ニューヨーク支部一覧を見る

2009年度女子美同窓会NY支部プロジェクト2009.12.05

NY支部プロジェクト
Museum of Arts & Design
2 Columbus Circle, New York, NY 10019
http://madmuseum.org

NY支部プロジェクト
NY支部プロジェクト
プリーツの折り目の間に手紙を差し込む。
「Think Global, Cut Local: Japanese Holiday Cards and Gift Wrapping」
「日本風のギフト包装とホリデーカード作り」のワークショップ
ミュージアム・オブ・アーツ&デザイン(Museum of Arts & Design)
2009年12月5日(土)

サンクスギビングのお祭りが終ると、年末に向けてニューヨークの街は一斉にホリデー色に変わります。そんな12月第一土曜日(12月5日)に、ミッドタウンにあるミュージアム・オブ・アーツ&デザイン(Museum of Arts & Design 「MAD」)で、「日本風のギフト包装とホリデーカード作り」のワークショップが開催されました。当ワークショップは、女子美同窓会NY支部のプロジェクトとして、1981年プロダクトデザイン科卒業の太田恵子さんが「日本風のギフト包装」、またNY支部長である海老原嘉子さんが「ホリデーカード作り」のインストラクターとして、日本の伝統に由来したクリエイティブなテクニックをご指導されました。

太田恵子さんは、米国で紙の専門店として最も有名なケイツ・ぺーパリー(Kate’s Paperie)で、アメリカ製の素材を用いた日本風のギフト包装のプログラムを考案された方です。ホリデーにギフトを交換する習慣のある米国で、そのテクニックは一躍ブームになり、The New Museum やDKNYなどでも披露され、メジャーTVネットワークであるCNN、NBC、BBCなどでも放映されました。物やお金を包むという行為は、もともとは慎み(つつしみ)という日本特有の価値感に基づいているのだそうです。今回ご紹介されていた紙の端をプリーツのように折り込むテクニックも、何重にも折ることで内容物が厄害から守られるという意味があるのだそうです。見た目にも、より立体的になり、包装された箱自体が美しい彫刻のようでした。

一方、海老原嘉子さんといえば、世界のアート界に「ジャパン=デザイン」という常識を作りあげた立役者で、MADのコミティーとして日本のデザイン・クラフトを紹介する企画を提案したり、「Accent on Design」 という国際見本市内に「Accent on Japan」をプロデュースするなどされています。

そんな海老原さんが紹介されたホリデーカードは、たった一枚の単色の紙にカッターで切り込みを入れるだけのものです。切り抜きではなく、切り込みだけですからゴミも出ません。しかし、切り込みを入れる事によって出来る影によって、文字が浮かび上がったり、人の顔やクリスタルボールのような形ができました。

紙というと、作品を描く画材の一つであって、それ自体が作品の素材だという認識を持った事はなかったので、紙の奥の深さに驚かされました。参加者もその不思議さに魅了され、特別な紙なのではないかと質問された方もいました。実際には、だれでも文房具屋で入手できるような普通の画用紙でした。

当日はあいにくの暴雨だったのですが、人が部屋からあふれるほどの大盛況で、会場内は熱気に包まれていました。大人も子供も皆さん真剣な面持ちで、納得が行くまで何度も同じデザインに挑戦したり、全部のデザインを制覇しようと没頭している方もいました。参加者からは「日本のデザインの美しさは特別。日本のテクニックを紹介するクラスをシリーズで開催してほしい。」という声も出ていました。

今回のプロジェクトは、 MADのコミティである海老原さんが、 世界各地の伝統的な切り紙を探索するミュージアムプログラムの枠に、女子美同窓会助成のイベントとして企画して下さいました。日本でアートを学んだ女子美の卒業生が、海外のそれぞれのアート界で活躍を続けてきた結果、こうして世界に女子美の名前を掲げて日本のアートを発信し、それが、それぞれの地で育っていくのはとても素晴らしい事ですね。

支部グループ情報