第5回 佐野ぬい賞は、応募者8名の中から平田智香さんが選ばれました。 今回受賞された平田智香さんは、女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業後も、これまでずっと制作活動を続けてこられました。彼女の作品は、具象的な表現の中に抽象的な言葉、つまり目に見えない形を描き、画面を再構築しています。それは、彼女自身の感性による現代社会を観察した結果であり、彼女の感覚を表出してます。バイタリティーを感じさせる画面は、けして乱暴ではなく、美しく、落ち着いて観ることができます。完成度も高く、それはこれまでの長い間、続けてきたからこその成果で、この点が高く評価されました。作品を通じて、これから女子美の後輩に描き続ける大切さを伝えてくれると思われます。 |
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第78回新制作展(2014)「マリオネット達」 194×372㎝ |
〈受賞コメント〉
この度は、名誉ある賞をいただきまして、身に余る光栄でございます。
私は主に油彩で作品を発表してまいりました。人物などを主題にして、創造した複雑な空間に、それらを配置する構成を模索しています。大学在学中にエスキースの重要性を教えていただいたことが身について、それが現在の制作方法に繋がっています。4m近い大作の制作では、さらに質の高い構成と表現の工夫が要求され、日々研鑽を積むしかありません。絵画のもつメッセージ性を意識して制作することもありましたが、これまでの経験からカタチと色の美しい調和が、人の心に響き、そこに様々なメッセージが生まれることがわかってまいりました。「時間の経過や気配」など、目には見えないものを具象の形に託して、再構築した新しい具象絵画を制作し、発表していくこと」これが私の研究テーマです。 現在、新制作展などでの発表や、幅広い年齢層に制作の指導をしており、アーティストトークや意見交換の場で社会と美術の関りを考える機会も多くなりました。思えば10代の時から芸術の道で自立することを目差してまいりました。女子美大卒業時にいただいた佐野ぬい先生からの「描き続けることが大切」という御言葉は忘れることが出来ません。女子美の多くの魅力的な先輩・後輩から影響を受けて、自分をふるいたたせて、ここまでこれたと思います。観察力と判断力を養い、センスをみがいて、私もそういう女性になりたいと思っております。 これからも「継続は力なり」で創造の喜びを得られるよう努力して参ります。 本当にありがとうございました。 |
平田 智香 |
1963年 | 東京生まれ |
1984年 | 安宅賞 受賞 |
1985年 |
女子美術大学洋画(油絵)専攻 卒業 卒業制作賞 受賞 |
1995年 | 新制作展出品 |
1996年 |
新制作展 新作家賞 受賞 |
1998年 | 第31回文化庁現代美術選抜展 出品 |
1999年 | 新制作協会 会員推挙 |
2001年 | 前田寛治大賞展 出品 |
2010年 | 第50回記念 神奈川県女流展招待出品 |
2014年 | 第56回秋田県展 洋画部門審査委員 |
2015年 | 公募団体ベストセレクション美術2015 出品 |
現在 | 新制作協会 会員 |
青山学院女子短期大学非常勤講師 |
【個展】
2002年 2006年 2009年 |
光画廊(銀座) |
2003年 | 楽画廊(横浜) |
2012年 2017年 |
日本橋三越本店 |
グループ展…多数 |