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音羽晴佳さんのパリ通信 Vol.22016.02.16

 

前回のパリ通信からあっという間に4ヶ月経ってしまい、パリでの滞在も残すところ3ヶ月となりました。この4ヶ月間の出来事を2回に分けてお伝えしたいと思います。


-9月と10月-
 

パリからヨーロッパの他の国々へは僅か1~2時間でアクセスできるので、この滞在中にできるだけたくさんの国を見てみようと思っています。
イタリア、マルコ・ポーロ空港までは飛行機で1時間半ほど。(さすが大陸!)
2年に1回開催される国際的な現代美術の祭典、ヴェネチア・ビエンナーレに行ってきました。
この祭典は2015年でちょうど120周年でした。

 

 

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今年の企画展のテーマは“ALL THE WORLD’S FUTURES ”
キュレーションはオクイ・エンヴェゾー氏でした。

 

国籍な出品者が印象的だった展覧会の様子(左)と、いつみてもかっこいいブルース・ナウマン(右)。
パリのカルティエ財団でも彼の回顧展がありました。

 

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2015年の日本館のアーティストは塩田千春さんです。錆び付いた無数の鍵と朽ちた小舟はどこか東日本大震災を思い出さずにはいられません…(インタビューでは鍵はチャンスを意味しており、未来は自分たちで切り開くことができる、という未来に向かうポジティブなメッセージを見せたいと語っておられました。)

 

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フランス館はこちら、セレスト・ブルシエ=ムジュノ氏の “Rêvolutions”(上)。

彼の白いボウルが青いプールに浮いている作品が以前、東京都現代美術館の坂本龍一氏が総合アドバイザーを務めた​企画展で見ることができました。
パレ・ド・トーキョーの企画展に出品されていたヴェネチアのラグーンをモチーフにした観客参加型のインスタレーション“acquaalta”(下)では船に乗る人の長蛇の列ができていました。

 

 

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また、パリが少し涼しくなってきた頃にモロッコへ旅行をしてきました。

まず向かったのは首都のラバト。パリからは飛行機で約3時間です。
ラバトのメディナは小規模ではありますが、値札がきちんとついていて安心。
買い物客でごった返していました。

メディナの目抜き通りを北上していくとウダイヤのカスバ。
横には庭園もあります。

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この周辺は家が青と白色で統一されていて美しいです。  

 

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この後、数日をかけてラバトからカサブランカ、マラケシュ、ザゴラとそれぞれの町の違いを楽しみつつ徐々に南下して行きました。目的は…そう!砂漠を見ることです!!砂漠までの道のりでは小さな村をたくさん目にしました。
特に小さな町ではアジア人はとても珍しいらしく、二度見、三度見されるのは当たり前でした。衝撃的だったのは日本という国を知らない人がいたことです(でも日本車に乗っていた…!)。ところどころで出現するオアシス(右)。

 

 

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小さな町や南の方の町は都会に比べてかなり保守的で、一人きりで外出することを
躊躇してしてしまうくらい女性の姿を見かけませんでした。
カフェはたくさんあるのですが、座っているのは男性のみということが多かったです。女性が自由に外出してお散歩したり、一人でコーヒーを飲んだりすることができない町が、この世界にはあるということです。

ザゴラのモスク。イスラム教では基本的に偶像崇拝は禁止されているので、アラベスクという幾何学模様のタイルやステンドグラスが発達しました。

 

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アラベスクで埋め尽くされた美しい内部。

 

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モロッコを旅行していて気がついたことの一つとして、パリでは道端で物乞いをしたり道端で寝ていたりする人々をよく見かけますが(日本と一緒ですね)、モロッコではそういった人たちをあまり見かけませんでした。
どういう訳かというと、仕事を持たない人が自ら仕事を作り出して働いているのです。
交通整理からゴミ拾い、ガイド、パーキングスタッフなど、その仕事の種類は多岐に渡ります。
モロッコ人のクリエイティビティもさることながら、そこまで整備されきっていないモロッコ故にスキマ産業を見つけやすい環境なのかもしれません。

そして念願のサハラ砂漠に到着です。私の真上に太陽があるんじゃないかと思うような強い日差し、反射する黄金の砂と空の青色しかない世界。夜になれば、月と星々がとてもはっきりと大きく、黄色く見えました。

夜空以外に私を照らすものは何もないはずなのに、くっきりと私の足元から伸びる濃い影を、いつまでも不思議な気持ちで見つめていました。

 

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ひとやすみ、ひとやすみ。

 

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次回のパリ通信では冬のパリについてお伝えします!


 

 

 

プロフィール写真_
音羽 晴佳 (おとわ はるか)
1989 年生まれ。
2011年 女子美術大学芸術学科洋画専攻卒業。
 

 

 

 

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