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小林麻美さんのミラノ通信 vol.22016.02.12

 

ミラノレポート2回目は、クリスマス・新年を向かえたヨーロッパの様子と
スイス・フランス・オーストリアへの国外旅行、ミラノから近郊の町をご紹介したいと思います。

ヨーロッパではクリスマスに向けて、街中、イルミネーションで彩られ、クリスマスマーケットもいろんな場所で開催されています。ホットワインを片手にマーケットを楽しんだり、事務所の近くのナヴィリオではスケートリンクまで出来ています。

また、クリスマスから年越しまで毎日花火があがり、カウントダウンも街中で花火があがり、深夜まで続きました。

 

 

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Mercatino di Natale 2015 Navigli
事務所近くのナヴィリオ沿いのクリスマスマーケット

 

 

また、ミラノ郊外にある建築をいくつか見に行きました。

家からわりと近くにある病院の中に併設された教会はジオ・ポンティ設計で、まるで船の中にいるかのような空間でした。

 

 

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The Chapel in the New St.Charles Hospital / Gio Ponti, 1969
ジオ・ポンティ設計 サンカルロ病院教会

 

 

ガララテーゼという街にアルドロッシとカルロ・アイモニーノが設計した集合住宅があり、真っ白で質素に構成されたアルドロッシの設計とは対称的に、原色の赤・黄色・青で彩られ迷路のような空間構成されたカルロ・アイモニーノ設計の塔があります。

 

 

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Quartiere Gallaratese, Milano con Carlo Aymonino ,1967-74
アルド・ロッシ+カイロ・アイモニーノ設計 ガララテーゼの集合住宅

 

 

週末に訪れたミラノ近郊の街を紹介します。
まず、ミラノから北東15kmに位置するモンツァの街
サーキットで有名な町で、自然豊かでとっても立派な王宮もあり、ここでM&S事務所で手がけた展覧会を見に行きました。

 

 

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BELLISSIMA L'Italia dell'alta moda 1945-1968
Villa Reale
モンツァの王宮でM&S事務所が手がけた展覧会

 

 

ミラノから南約30kmに位置するパヴィアの街と、そこから約8kmの北にある世界5代修道院の一つパヴィア修道院があります。何もないところに突如大きな修道院が静かに現れ、建物の中に入ると、125m×100mの回廊と122本の神々の彫刻が並ぶ柱、また修道士たちの僧房も見ることができます。

 

 

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Ponte Coperto

 

 

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Certosa di Pavia
パヴィアの修道院(青き聖堂)

 

ミラノから電車で30分程度のところにあるヴィジェーバノ

ミラノで知り合った日本人のおじ様は、柳宗理がこの場所をこよなく愛し、よく連れてったとのことで、この広場でのんびりすごした風景が思い浮かべられます。

 

 

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Vigevano
ヴィジェーバノ

 

ヴェルディ作曲のオペラ「リゴレット」の舞台であるマントヴァです。ほのぼのした空気で地元の人が生活している様子が伺えます。

 

 

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Mantova
マントヴァ

 

 

世界で活躍するレンツォ・ピアノのスタジオがあるジェノバ。駅周辺と海沿いとその間の路地が全く違う表情を見せ、街のコントラストが面白いです。

 

 

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Riqualificazione del Porto Antico, Genova / Renzo Piano
ジェノヴァ港再開発 / レンツォ・ピアノ

 

 

美食の街、またの名を肥満の街、ボローニャ。この街はとにかく美味しいものがあり、何を食べても間違いないです。また、街はたくさんの人々で賑わい、大きな建築物が集合し、大学の町ということだけあって、本屋さんもいっぱいあります。そして街中がポルティコという屋根付きの回廊でつながり、独特の街の形成を見ることができます。未完成の教会や、権力の象徴として建設された高い塔からの景色はオレンジ色に染まったボローニャの街が一望できます。

 

 

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San Petronio Basilica di Bologna
ボローニャ

 

今回2度目のヴェネツィアでは、ヴェネツィア・ビエンナーレとブラーノ島へ行ってきました。展覧会では日本人の塩田千春さんの「掌の鍵」という作品が、たいへんすばらしかったです。また、ブラーノ島はすべての家の壁がカラフルに彩られ住所の役目を果たしていて、隣家とは違う色にしなければならないと決められている、おもしろくてとてもかわいらしい街です。

 

 

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Venezia Biennale Arte 2015
ヴェネツィア・ビエンナーレ2015

 

 

 

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Burano
ブラーノ島

 

 

レポートイタリア国外編: スイス、フランス、オランダ

12月の連休を利用して、スイスのチューリッヒとフランスのロンシャンに行ってきました。

スイスの街はクリスマスマーケットやイルミネーションで子供から大人までが夜遅くまで賑わっていました。鉄道の高架下を利用しておしゃれなお店が並ぶエリアから、旧市街や町を一望できる高台まで、どこもかしこも素敵で、親切な人も多く、とても印象に残る街になりました。

 

 

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Zurigo
チューリッヒ/スイス

 

 

チューリッヒから日帰りでフランスのロンシャンの礼拝堂へ行ってきました。丘の上に立つこの礼拝堂に実際入ってみると、思ったよりも小さくて、窓から差し込む光は柔らかく、神秘的のようでフォルムからは想像できなかった落ち着いた空間でした。

 

 

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Chapelle Notre-Dame du Haut/ Le Corbusier / France
ロンシャンの礼拝堂/ル・コルビジェ/フランス

 

冬休みはオーストリアのウィーンに行ってきました。

モーツアルトやベートーベン、ハイドンなど音楽の都として名高く、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレもこの地の出身。宮殿や美術館、施設等の建築はすべてが非常に大きく豪華で、魅力的な作品も多数あります。中でも画家フンデルトヴァッサーの作品は直線を使わずすべてが有機的な曲線で構成され、自然と調和した建築がいくつか見ることができました。

 

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Friedensreich Hundertwasser/ Vienna/ Austria
フンデルトバッサーハウス/ウィーン/オーストリア

 

 

ほぼ毎週末、ミラノ近郊の町に訪れ、視察研究を続けておりますが、
素敵な街がありすぎて、まだまだ終わりません。
歴史的な建造物から近代建築、インテリアデザインなどをメインに視察をしていましたが、たくさんの街を訪れる上で、そこに住む人々の習慣・行動、広場のありかた、環境やイベントなどなど、その街においてのさまざまな背景をよく知ることが大事であることを改めて感じました。
今後あとわずかな時間になりましたが、できる限りのことを吸収したいと思います。

 


暖かいミラノの2月より、小林麻美でした。


 

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小林麻美

1982年生まれ
女子美術大学付属中学校・高等学校・大学を卒業し、建築設計事務所に入所。
その後、さまざまな建築設計事務所でインターンを経験し、2009年より6年間
女子美術大学デザイン・工芸学科環境デザイン専攻の助手をつとめる。
現在ミラノ賞を受賞し、2015年4月よりイタリア・ミラノに滞在。
Migliore+Servetto Architectsに所属。

 


 

 

 

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