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田中直子さんのミラノ通信vol.1 – ヴェネチア・ビエンナーレ2017レポート2017.11.10

 

○今回より平成29年度第11回女子美ミラノ賞を受賞された、田中直子さんにミラノでの暮らしをご紹介していただきます。どうぞお楽しみください!!

 


 

初めまして。今月からミラノ通信を担当させていただきます田中直子と申します。昨年にミラノ賞をいただき、これより半年間ブレラ国立美術学院に通います。

 

私は現在、女子美術大学大学院アートプロデュース研究領域に在籍しており、1938年に日本・ドイツ・イタリア間で行われた「日独伊親善図画」という児童画コンクールについて研究しています。

 

ここではミラノでの生活はもちろん、学校生活や自身の研究についてもレポートできたら良いなと思っていますのでこれからよろしくお願いします。

 

ミラノは10月に入った今でも晴れの日が多く続き、大変過ごしやすいです。気温もベストで、湿気も無くカラッとしています。おかげでドゥオーモも綺麗に見えております!

 

 

ブレラ国立美術学院は10月下旬から開始されるとのことで、9月にイタリアへ入国した私は大学が開始される1ヶ月間はイタリア語学校に通いました。これまで数カ国の海外留学経験がありましたが、実は海外の語学学校に通うのは初めてでしたので、なかなか興味深い体験でした。年齢も滞在理由も異なる人々との交流は自身のアイデンティティーを問う貴重な機会となりました。

 

また、語学学校に通いながら様々な美術展にも足を運びました。皆様はご存知かもしれませんが、今年のヨーロッパは芸術祭イヤーです。5年に一度のドクメンタ(ドイツ)に始まり、10年に一度のミュンスター彫刻プロジェクト(ドイツ)、そしてイタリアではベネチア・ビエンナーレ!私のように現代アート好きにはたまらない年なのです。イタリア入国前にドイツの芸術祭巡りは済ませてきましたので、私は9月にベネチア・ビエンナーレへ訪れました。

 

ビエンナーレが開催中のベネチアは、芸術によって色付き、賑わい、より一層美しく見えます。ここで少しベネチアの写真を掲載いたします。ベネチアの風を少しでも皆様に感じていただければ幸いです。

 

 

今回とても楽しみにしていた展示の一つがPALAZZO GRASSIとPUNTA DELLA DOGANAで行なわれているDamien Hirstによる個展「Treasures from the Wreck of the Unbelievable」です。

 

 

実は本展、アート界では賛否両論あるようで、旅の途中のカフェで出会ったマダムも「お金って感じがして下品!好きじゃないわ」と話していました。しかし個人的にはその逆のように感じました。盛大な作品を制作することで、社会やアート界におけるマネーゲームに対する皮肉と歴史自体の疑念を表現し、真実とは何かを問いかけているように感じ取れました。やはり彼のクリエイティビティには毎度驚かされるものがあります。

 

写真(下)はベネチア・ビエンナーレ、イタリア館のRoberto Cuoghiによるインスタレーション「キリストの偽造」。

 

 

オーストリア館はErwin Wurm作品がずらりと展示されていました。

 

 

日本館は鷲田めるろ氏キュレーションによる岩崎貴宏氏の展示。会場の外から中の展示を覗くことができるユニークな演出で注目を集めていました。

 

 

さて、アートが熱いのはベネチアだけでなく、ミラノも同じです!先日は語学学校の遠足でPirelli HangarBicoccaを訪れ、Lucio Fontana(1899-1968)の展示を見ました。彼の1940年代〜60年代にかけて発表された作品「Ambienti spaziale」シリーズが再現されていました。この作品はこれまで発表しても展示終了と同時に破壊されていたため、あまり人々に知られていない作品だそうです。今あらためて見ても50年以上前の作品とは思えないですね。流石の一言です。

 

 

ヨーロッパの芸術文化の素晴らしいところは、新しい表現をどんどん寛容的に取り入れていく姿勢にあると思います。まずは挑戦することに意味があって、評価はその次についてくるもの。私もこうした姿勢を見習いたいものです。

 

今回ミラノ滞在中はできる限り様々な作品を見ていく予定です。これからどんなアートに出会えるかが楽しみです!

 

 

そして最後にブレラ国立美術学院と女子美の交流を少しご紹介します。先日、ブレラ国立美術学院と女子美の共同展示「Luce occhio visione」が行われ、女子美生とブレラの学生の作品展示が眼科センターCentro Ambrosiano Oftalmico (CAMO)の支援によって行われました。展示された作品はその後販売され、LOV4VISIONプロジェクトにより支援金になるそうです。展示会場がとっても素敵でした。

 

 

次回は今回ご紹介できなかったブレラ国立美術学院の様子などについて書きたい思います。このような調子で今後もいろいろとざっくばらんにお伝えしたいと思っていますので、皆様これからどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

田中直子 Tanaka Naoko

 

2016年女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域卒業

2017年大学院美術研究科博士前期課程デザイン専攻アートプロデュース研究領域2年次在籍

100周年記念大村文子基金 平成29年度 第11回「女子美ミラノ賞」受賞

 

 

 

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