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up date 2006.04.11

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【ロンドン通信 第12号】


□ 小林ますみ(1998年専攻科情報デザイン修了)



こばますのロンドン通信
第12号
ロンドンの白い桜です。
第12号
2月に行われたKingsgate Galleryでのグループ展のオープニングの様子。たくさんの人が訪れてくれました、あまりの人の多さに作品が見れないことも(笑)。
第12号
ロンドンの中心地からは少し離れていますがとってもいい雰囲気のギャラリーでした。
第12号
無事全員の作品を展示する事が出来ました。
第12号
私の作品も入り口近くのいい場所に(笑)。
ロンドンもサマータイムになり桜の美しい季節になりました。日本のソメイヨシノに比べるとロンドンの桜は少し野性的な感じ、色は白いものが多いです。でも桜に特別な感情を抱くのは日本人特有のもののようですね。

さて、今学期もそろそろ終わり。イースターホリデーまでもう少しです。今学期は年明けと3月半ばにそれぞれ2500字と3000字の論文の提出があったので大半の時間をそれに費やしてしまいました。2つとも芸術と偶然の関係について書いたのですが私のつたない英語力ではほんとに気の遠くなるような作業でした。特に引用部分の翻訳が大変。後半の論文では九鬼周造の引用を用いたのですが、哲学分野の話なので専門用語や難解な説明が多く日本語ですら分かりにくい。それをさらに英語にするとなるともう何が何やら。それでもなんとか書き上げた論文をクラスメイトのイギリス人に見せたところ『Completely rubbish,it doesn't make sense.』
さらに『This is not English.』とまで言われてしまいました。ああ、そんなこと言われてももう提出は明後日、どうしよう。と思っていたら次の日に7時間付きっきりで私の『英語じゃない英語』で書かれた論文をはじめから終わりまでみっちり直してくれました。『こんなにすばらしい英語になって、もうこれ私の論文じゃないかも。』と冗談で言ったら『いや、僕は英語を直しただけで誰が何と言おうとこの考えは君のものだから心配ない。』と真面目な顔で言ってくれました。彼にはほんとに感謝感謝です。彼に限らずほとんどのクラスメイトが留学生に対してとても親切。聞き逃しがないか、来週の予定を知っているかなどと折に触れて聞いてくれます。私がいつか逆の立場になった時にそうして気を配れるようになろうとつくづく思います。

もう一つ今回はうれしいことがありました。前回のロンドン通信でお知らせしたOriginals 06に出品していた作品が売れたのです。その知らせがギャラリーから届いた時は思わず書類を何度も確認してしまいました。このギャラリーではアーティストに購入者の住所氏名と教えてくれます。これは実は一般的なことではなく、個人のギャラリーではアーティストがその後ギャラリーを通さずに購入者と直接取引するのを防ぐ理由から通常は教えてくれないそうです。そのうえこのギャラリーは作品販売の明細書も送ってくれました(明細さえ知らせないギャラリーもあるそうです。)、それによると販売価格からコミッションの45%とそのコミッションにかかるVAT(売上税)を引いた分が私に入ることになっています。となると実際私の手元に入ってくるのは販売価格の半分以下。幸い大学に作品の取引に関して詳しい講師の先生がいたので後日聞いてみると、本来VATはギャラリーがコミッションから払うべきで少なくともアーティストとギャラリーが半々にするのが筋。そして学生はVATを払う義務はないので本来は払わなくていいのだけれど今回はもう話が進んでしまっているので手遅れでしょうとのことでした。「手数料の事とかって取引書類に小さな文字で書かれてるのよねぇ。」と先生も苦笑。今回のことでギャラリーとアーティストの関係も一つ勉強になりました。

今学期の週1回のMAのレクチャーでは卒業後(もしくは在学中にも)アーティストもしくはデザイナーとして実際にぶつかる問題(ギャラリーとアーティストの馴れ合いの関係でどれだけ作家が損をするか、どうやって法律的に自分の権利を守るか、など)に関する講義が法律家やアーティストを講師として何度か行われました。実際にはものごとは正しい方向へばかり進まないのが現状ではあるようですが、心構えとして知っておきたい有意義な講義でした。

さて、一昨年から7回に渡りお送りした私のロンドン通信は今回が最後になります。私のMAでの学生生活もあと数ヶ月、夏の修了制作展に向けてがんばります。これまでお付き合いいただきありがとうございました。どこかでまた!
 
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